2013年9月7日土曜日

Adventure Time #120 Puhoy

Adventure Timeシーズン5.1を振り返ってみる企画、第2回は#120 "Puhoy"を見てみます。

このエピソードって、ハッキリ言ってAdventure Timeではたまにある、「何がやりたかったのかよく分からんエピソード」だと思うんですよね。 普段、そういう話は見ても「ふーん」って思うだけでスルーしてしまうんだけど、この回だけはなぜかやたらと心に刺さったんだよなあ。 ほんと自分でも理由はよく分からないんだけど、印象深い、他に類を見ないエピソードだったと思う。

ナイフ・ストームの日にありったけの枕を使って遊ぶジェイク。ジェイクが作った枕の砦の奥へ潜り込んだフィンは、そこで世にも不思議な「枕の国」に迷い込む。

枕の国でドラゴンを倒し英雄になったフィンだったが、ツリーハウスへ帰る道を見失ってしまう。果たしてフィンは無事に元の世界に帰ることができるのか・・・というお話。

超久しぶりのナイフ・ストーム!

大雨の日に部屋の中で遊ぶのってなんかワクワクするよねということで、今回のジェイクの遊びは枕とかマットレスとかシーツとかを積み上げて秘密基地的な何かを作るというもの。あー、分かるわー、こういうの。小さい頃、兄貴と同じようなことやったわー。相変わらずジェイクは遊びのツボを心得てるなあ。

ほんの一瞬だけど、ビーモの兄弟モデル「シーモ(CMO)」がフライング気味に登場。本格的な登場は#132 "Be More"ですね。なんでここにシーモのシーン入れたんだろう?

フレイム・プリンセスのことで思い悩むフィンは、独りになるために枕の砦の奥へ。しかしそこで目にしたのは・・・

何もかもが枕(というか寝具)でできた枕の国! 木も、丘も、道も、鳥も、建物も、空や太陽までもみんな枕!

枕の国を荒らす凶悪なドラゴンも枕!

これまでもAdventure Timeではランピー・スペースやらクリスタル時空やらナイトスフィアやら出てきたけど、ここまで徹底した異世界はありそうでなかったかも。KNDでソファーのスキマの世界が出てくる話があったけど、アレにちょっと近いかな。なんか児童文学っぽい。

ドラゴンをサクっと倒して枕の国の英雄になったフィンは、宴に招かれる。

枕の国の長、キルトン(Quilton)と、その娘ロゼリネン(Roselinen)。まくらピープルはみんなまるっとしててかわいいなあ。キルトンさんのキルト柄も、いちいちかわいい。

ちなみにキルトンが持ってきたフォアグラ風の食べ物も枕。食べ物までも、枕www どうなってんだ、この国は!

フィンはキルトンに元の世界に戻る方法を尋ねるが、キルトンもその答えを知らないらしい。キルトンはフィンのために元の世界に戻る方法を調べるが・・・

その後、年月が流れ・・・

元の世界に帰れないまま、立派に成長したフィン!

このへんで、見てる方としてもこのエピソードはいつもとちょっと違うなと思うわけですね。ロゼリネンとともに幸せな家庭を築いているフィンの姿がある意味衝撃的。

フィンとロゼリネンの子ども、ボニー(Bonnie)とジェイ(Jay)がまたかわいいんだ。人間というよりもどっちかというと枕ですね。

フィンとキルトンは古代の文献も頼りにしながら元の世界に戻るための「ドア」を探すものの、ハッキリしたことは何一つ分からない。

そしてさらに年月が流れ・・・

老境のフィン!

あー、このフィンはまたしても右腕が義手になってますね。コミック版に出てきた未来世界でも、シーズン5最初のファームワールド編でもフィンは右腕が義手。本編でもそのうち右腕を失う話が出てきたりするんだろうか?まあ何にせよ、義手も枕なあたりが凝ってるなあwww

「ドア」の在り処を求めて予言者ラシータ(Rasheeta)を訪れたフィンだったが、結局ドアの手がかりは掴めぬまま。

あっと言う間に立派な大人になったジェイとボニー。この子らが成長することで時間の経過がよりリアルに感じられるなあ。

フィンとの別れを悟って感極まるロゼリネンのこのシーンがもう切なくてたまりません。本当に悲しい時、人はむしろ笑うのかもしれない。

これまで何十年と元の世界に戻ろうとしてきたフィンだったが、この時、枕の国に骨を埋める決心をする。

このフィンの、諦めにも似た決意がAdventure Timeのファンにとってはまた衝撃的だと思うのですよ。ジェイクのことすら、数十年も経てばほとんど忘れてしまうという悲しい現実。

「忘れてしまったものはもはや現実に存在しないも同然」というのはエピソード中でジェイク自身が言っていたことだけど、的を射た発言だと思うんですよね。的を射てはいるんだけどそこまで開き直るのはさすがに悲しすぎる。でも事実、このシーンでフィンはジェイクのいた世界を諦めてしまう。

そしてついにフィンは枕の国で老いて死に・・・

気がつけばいつものツリーハウスへ。

ツリーハウスへ戻ったフィンは枕の国のことを全く覚えていないようで。つまり今度はロゼリネンや子供たちのいた世界をフィンは忘れてしまったということですね。

で、結局このエピソード、夢オチなのかなんなのか?細かいところはいろいろわけが分からないんだけど、途中に散りばめられたいろんなポイントがことごとく心に刺さりまくったいいエピソードだったなあと。Adventure Timeではかなり後になってキャラクターが再登場することがあるけど、ロゼリネンをはじめとするまくらピープルは二度と出てきちゃいけないだろうな。でないとこの余韻が台無しになる。

5 コメント:

匿名 さんのコメント...

このエピソード、おそらく新スタートレックのエピソードの超時空惑星カターンのオマージュでもあるかと思います

バッククォート さんのコメント...

なるほど、スタートレックにこういう話があるのですか。
他にもけっこう元ネタがスタートレックなエピソードはあるかもしれないですね。

匿名 さんのコメント...

中国の古典が元ネタだと思います。
邯鄲夢の枕という話があって、色んな話の元ネタになっています。
夢落ちの話で、一生を体験する夢を仙人から貰った枕で見るが目を覚ますと時間が全く立っていなかったみたいな話です。

匿名 さんのコメント...

カターン=邯鄲のモジりですよね。
「邯鄲夢の枕」という能楽もあります。三島や芥川もこのネタを題材に書いていたような気がします。
長い長い人生を送るがハッと目が覚めると……みたいな。枕の国は安部公房の「砂の女」的でもありますね。

バッククォート さんのコメント...

ふむ、中国の古典が能楽になり、スタートレックのエピソードにもなり・・・ ということなんですね。

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