2014年5月17日土曜日

Maxwell Atomsと"Dead Meat"の近況

ビリマンのクリエイターMaxwell AtomsがKickstarterで出資を得て取り組んでいるパペット映画"Dead Meat"の近況報告が出てました。

AtomsさんはWarner Bros.で働き始めたらしい。 で、それもあって以前よりDead Meatに割ける時間が減ってしまったとか。 なので出資者へのRewardももうちょっと待って欲しい、とのことです。

Atomsさんは進行が遅いように書いてるけど、いろいろなアーティストらの協力もあって、ハタから見ると結構順調に進んでるように見えるんですけどね。 今回の更新ではついにミュータント犬デッドミートのパペットが!! だいぶパペットショウらしくなってきた。

現状の計画では、7, 8月に最初の何話かを撮影し、来年初頭にそれを公開ということらしい。 あくまで今の計画なのでどうなるかは分かりませんが。

ところで、Atomsさんは今のプロジェクトの進行について結構イラだちをあらわにしているんですが、 それについて"The Thief and the Cobbler"という作品を引き合いに出してますね。

"The Thief and the Cobbler"というのはそのスジの人には伝説となっているアニメ作品らしい。 クリエイターはRichard Williamsという人。

何が伝説なのかといえば、そのアニメーションクオリティと製作経緯。 1960年代から製作が始まったものの、メチャクチャに凝りまくっていたのと予算の都合でいつまで経っても完成しない。 なんと30年近くずーっと製作が続けられていたらしい。

こういった映画製作には"Completion Guarantee"という一種の保険があるらしいですね。 これはつまり、その映画の製作が定められた予算と期間で完了することを担保することで、こういった保険を請け負う会社があるのだとか。

"The Thief and the Cobbler"もCompletion Guaranteeの保険会社が絡んでいたんだけど、 あまりにも長すぎる製作にしびれを切らしたその会社は、1992年にRichard Williamsから作品を取り上げ、Fred Calvertという人物に製作を押し付けてしまう。 その後、しぶしぶ製作を引き受けたCalvertはなんとか作品の体裁を整えて上映できるところまで漕ぎ着けたものの、その最終的な出来栄えは当初Williamsが想い描いたものとはかけ離れたものになってしまったらしい。

うーん・・・、スゴい話だなあ。

あ、このへんの経緯を描いたドキュメンタリー映画があるみたいですね。

個人的には、未完の傑作よりも完成した佳作の方がさすがに価値があるだろうし、お金が絡めば自ずと締め切りを気にする人が出てくるので、まあある程度しょうがないことかなあと。 さすがに30年は長すぎるでしょ・・・

Atomsさんもその辺はそう考えているようで、"Dead Meat"が"The Thief and the Cobbler"になってしまう前に作品を仕上げるつもりらしい。 が、一方で妥協するつもりも全然ないみたいですね。

それにしても、Maxwell Atomsは自らの心情を包み隠さず吐露するような文章をちょいちょい書いていて、今回は最後の方の2段落が特にスゴい。

It's hard sometimes to turn on the TV and see a badly animated ad for laundry detergent and know that they had more than ten times the budget I do. Or to watch Spiderman and know they made that for many millions of dollars and only about fifteen brain cells. It's hard not to be jealous, but jealousy doesn't do any good.

I've got what I've got. I've got a story I know is worth telling, some fantastic folks to help me, cool fans with great taste, a bunch of ramen noodles, and the drive to see it through to the end. Every day I tell myself that it's all about putting one foot in front of the other until I get there. Every day it gets a little closer. The journey won't be as quick as I'd like, or (probably) as you'd like. But we will get there.

かのMaxwell Atomsでさえ、この手の憤りは感じるし、いいモノを作るには時間がかかる。 近道はない。

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