2013年7月20日土曜日

Luke Pearsonの「ヒルダ」シリーズ

だいぶ前にまきしまさんに教えてもらったアーティスト、Luke Pearsonのコミック「ヒルダ」シリーズの第3巻をこの間買ったのでこの機会にまとめてご紹介してみます。

なんというかこのシリーズ、不思議な生き物満載の世界観が素晴らしいのです。

「ヒルダ」シリーズは山奥の一軒家に母親と暮らす少女ヒルダの冒険と心の成長を描くコミック。 今のところ、"Hildafolk", "Hilda and the Midnight Giant", "Hilda and the Bird Parade"の3巻が出ていて、時系列順にゆるくつながっています。

Hildafolk (2010)

岩をスケッチするのが趣味のヒルダ。いつものように家のまわりの散策しながらスケッチをしていると、「トロル岩」と呼ばれる岩を見つける。

トロルは日中は岩のように動かないが、暗くなると人を喰らうこともある危険な生き物。 ヒルダは用心しながらスケッチをするが、夢中になっているうちに日が暮れてきてしまう・・・

ページ数も少ないしあっさり読める作品。グラフィックノベルというより絵本に近いかな。

ページ数は少ないものの、家の中、草原、雪原、雨の夜など、シーンごとにがらりと変わる色彩がなんとも印象的で美しい。

Hilda and the Midnight Giant (2011)

山奥で平穏な暮らしを送ってきたヒルダとお母さん。しかしここ最近になってその土地に暮らす小人(Elf)から脅迫状が届くようになり、さらには小人の軍隊に家を襲撃されてしまう。

ヒルダは暮らしを守るために、中立派の小人「アルファー」(Alfur)の助けを得て小人の王国と交渉することに。

しかし事態は思った以上にややこしいことになっていて、交渉はなかなか進まない。

そんな最中、ヒルダは真夜中に山よりも大きな巨人を目撃する!

果たして巨人の正体とは? そしてヒルダは小人の攻撃を止めることができるのか?

この、たった一人で小人の王国に戦いを挑むヒルダがたくましくてカッコいい!

"Hildafolk"に比べるとぐっとストーリーがしっかりしてグラフィックノベルらしくなった感じですね。

小人の話と巨人の話はあんまり関係なさそうで実は関係あるんですが、その辺もイイ。巨人と出会ったヒルダの心境の変化がなんとも切ないのです。そして衝撃のラストは必見!

Hilda and the Bird Parade (2012)

山奥から賑やかな街「トロルバーグ(Trolberg)」に引っ越してきたヒルダとお母さん。 しかし自然に囲まれて育ったヒルダは街の暮らしを窮屈に感じてしまう。 見かねたお母さんは今夜開催されるという「バード・パレード」にヒルダを連れていくことを約束する。

パレードが始まるまで友達と一緒に街で遊んでいたヒルダは、ひょんなことから空の飛び方を忘れてしまった不思議なカラスと出会う。 カラスにかまっているうちに、ヒルダは友達とはぐれてしまう。

カラスを連れて家に帰ろうとするヒルダだったが、土地勘がないせいかすっかり道に迷ってしまう。 街中をさまよっているうちにやがて日が暮れてきて・・・

小人と巨人を相手に命がけの冒険をした前巻と比べると、一気にスケールダウンした感のあるこの作品。

でも「街で道に迷った挙句、日が暮れる」って、子どものころに誰もが一度は経験する恐怖体験だと思うのですよ。 そのせいか、日が暮れてくるにつれヒルダとお母さんの不安と焦燥が高まっていく感じが実にリアルに感じられます。

個人的にはこの巻、ヒルダにちゃんと人間の友達ができたことにちょっと感動してしまった。 ここまでヒルダ以外の人間の子どもは全然出てこなかったからなあ。もっとも、この子たちあんまりガラのいい友達じゃないんだけど。

しかし舞台が街に移っても不思議な世界観は全く色褪せないこの作品。トロルも出るよ!

と、いうわけで3巻まで読んだ「ヒルダ」シリーズですが、改めて見るとこれ、だいたい1年に1冊のペースで出ているんですね。今年の冬あたりには第4巻が出るのかな?

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