2013年11月16日土曜日

"I wanna be famous"

4月の末に"Dude, That's My Ghost!"(DTMG)という作品について書きましたが、実はあれから今までの半年以上、ちょっとずつちょっとずつ見続けていたりします。 途中で飽きてしまう作品も結構あるんですが、この作品はなんか長続きしているんですよね。劇的に面白いわけでもないのに、不思議。

というわけで、これだけ見ているんだから4月の頃とは違った視点の感想が書ける気がしたので、書いてみます。

簡単におさらいすると、DTMGは映画監督志望の高校生 スペンサー・ライト(Spencer Wright)と、世界的ロック・スターの幽霊 ビリー・ジョー・コブラ(Billy Joe Cobra)の日常を描いたドタバタコメディって感じの作品。スペンサーはビリーの遠縁の親戚で、その縁あって、ハリウッドにあるビリーの豪邸に家族ともども引っ越してきたという設定、だったはず。このへんの設定、だいぶユルいんですよね。

4月の記事ではほとんどスペンサーとビリーのことしか書かなかったけど、せっかくなので他の登場人物も紹介しましょうか。

スペンサーの友達のシャニラ(Shanilla)とラジーフ(Rajeev)兄妹。インド系アメリカ人、かな。この作品、とにかくラジーフのKYっぷりがスゴい。。

ビリーは幽霊なので普通の人間には見えないんだけど、スペンサー、ラジーフ、シャニラはビリーの遺品を身に付けているのでビリーを見ることができるという設定。

スペンサーの家族。スペンサーの両親はいかにもアメリカにいそうなノーテンキなおじさんおばさんといった感じ。スペンサーの妹 ジェシカ(Jessica)は空手をやっててめちゃくちゃケンカっ早い。

なぜかスペンサーの家族はビリーの幽霊のことを知らないんですよね。ビリーの起こす怪奇現象も、スペンサーが映画の撮影で何かやってるくらいにしか思ってないみたい。ノンキだなあ。

たまに出てくる悪役らしい悪役のマダムXと、その手下フーバー(Hoover)。 マダムXはビリーの大ファンで、どういうわけかビリーが幽霊になっていることを知っていて、ビリーを捕まえようとしている。口周りと手しか画面に映らないオバさん(推定)。

フーバーはマダムXの手下で、銃のような武器でビリーを捕まえようとしてちょくちょく登場する。わりとメンタルが弱い。ちっちゃいおっさん。

まあ、あと他にもスペンサーのクラスメートとか何人かいますが、登場人物はこんなもんですかね。そんなに際立ったキャラがいるわけでもないし、お話としても特にハネるエピソードっていうのはほとんどない。でもなんだろう、このしつこくない、気楽な感じが個人的には結構好きで、だからこそ飽きずに見れているんだと思うんですよね。薄味だけど、味長持ちというか。

ただ、ある程度しつこく見ていると、この作品、登場人物のほぼ全員がめちゃくちゃ有名人になりたがっているっていうあたりが特徴として見えてくると思う。

分かりやすいのはやっぱりスペンサーで、映画監督として名を上げるために結構ムチャなことやったりするんですよ。

例えば#14 "Let's Do Lunch"は、スペンサーが身分や年齢を偽ってハリウッドの有名プロデューサに自分を売り込む話。いやこれ、立派な詐欺だからな!

#33 "Bad Publicity"はスペンサーが敏腕広報(publicist)の手によって一躍有名人になってしまう話。この広報のオバさんが、ウソのスキャンダルなども交えたいろんな胡散臭い手段を講じるあたりがまたハリウッド流というか。publicistっていう仕事、初めて知ったわ。

これでスペンサーにクリエイターとしての実力が備わっていればまだいいんだけど、スペンサーの作る映画・映像って、もうお世辞にもデキがいいとは言えないと思うんですよね。B級映画とかそういうレベル以前のショボさというか、あくまで「映画好きのごく普通の高校生が撮りました」的な感じ。実力がないのに名声を求めていろいろもがいている姿に、なんか哀愁を感じてしまう。

一方、ビリーは自他ともに認めるロック・スターなので「有名人になりたい」って感じじゃないんだけど、なにせ死んでいるので、時代が移り変わって自分の人気がなくなったり、人々に忘れ去られたりすることを異常に恐れているフシがある。うーん、栄光を味わった者特有の神経過敏ということなのかも。

それでもビリーは死後もなお多くの人々からリスペクトされているみたいで、そのへんはやっぱりスゴいと思う。

あと、スペンサーの家族も相当に有名人になりたがってるんですよ。

#30 "Reality Showdown"はどうしても有名人になりたいライト一家がリアリティTVに出るという話。

自分はホンモノのリアリティTVってのをほとんど見たことはないけど、少なくともカートゥーンで描かれるリアリティTVって、一般視聴者の名声への渇望を搾取する、かなりエグい企画だと思ってます。まあ本物のリアリティTVは全てがそうじゃないだろうけど、企画する側も出演する側もいろいろ業が深い企画だと思う。

そう言えば、リアリティTVをカートゥーンとして描いている"Total Drama"シリーズの主題歌は"I wanna be famous"という、どストレートなタイトルでしたっけ。

最近はそうでもないけど、Total Drama Island (シーズン1)の頃は、キャストメンバーに「ただの一般ピーポーだった俺がテレビに出てるぜ!」ていう高揚感があったように思う。最近はTotal Dramaに出るのがむしろ罰ゲームみたいな感じになってきたけど。

こういった、TVに出たい、有名人になりたいっていう、人間のドロドロした欲望を、DTMGはオブラートに包みまくって明るく楽しく描いているような気がするんですよね。

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